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また逢おう

人と人が出逢い、恋をして、
それから、ふたりで想い合うことは、
本当に本当に、奇跡なんだと思う。
何十億って人がいるのに。
みんなが笑顔になることはとても大変。
誰かの幸せの笑顔の後ろには、いつもたいてい、別の誰かの涙がある。

10年前にこの作品に出演したときには、
主人公の気持ちが、
ここまでは自分の心には響かなかった。
たぶん、自分の芝居のことでいっぱいいっぱいだったし、
深く人を想うことなんて、まだまだよくわからなかったのだと思う。
今は、岡本さんの気持ち、
痛いほどに、とてもとてもよくわかる。

そんな岡本さんに惚れられる役。
自分が岡本という人が、大好きだからこそ、
大切に演じたいと思った。
最後の「志士は溝壑にあるを忘れず」という大事な台詞を、
どんなケイコにだったら言えるのか。

3ヶ月、ケイコという役に向き合って、やっと、
この人の気持ちがわかってきた。
内側にある気持ちとは全然違うことを、
意地をはって、ぶつけてみたり、
ついつい、思ってもないことを言ってしまったり。
要するに人の気持ちは複雑で、よくわからなくて、すぐに変わるもの。
言うことも、やることも、
私とは離れたところにあるキャラクターだと思っていたけど、
知り合いからは何も演技してなかったね、と言われることも多くて、
結局は自分の中にあるもので、なんとか勝負するしかなかったのかもしれない。
勝ちも負けもない世界だけど、
でも、毎ステージ、暗転になり、ものすごい迫力の拍手が聞こえた。
本当に本当に幸せで、死ぬまで忘れられない公演になった。

初めての試みのメインキャストのみのダブルキャスト。
想像を遥かに超えるテクニカル的な大変さを伴う公演になった。
体力の前に神経が悲鳴を上げていた。
新人がダブルキャストならば、たぶん、
もっと簡単な違いで片付いていただろう。
そして、公演を重ねれば、当然、違いにも慣れていく。
しかし、海組は海のかなたに、
空組は空のかなたに進化し続けた。
楽しかった。
とても面白かった。
でも、もっと自分にいろんな技術が備わっていたら、
もっともっと楽しめただろう。
こっちのチームでは、こういうキャラクターでないと成立しないんだった、
あっちのチームでは、こういう流れじゃないと盛り上がっていかないんだった。
とにかく、いろんなことを瞬時に判断して軌道修正。
チームカラーと1日置きの彼等だけのコンディションを舞台上で読みながら、
細かいきっかけを調整して、音響さん、照明さんと、
だよね、だよね、今日はこうだよね、と、
離れた場所にいるスタッフさん達に気持ちを飛ばして通わせ合って、
なんとかかんとか、毎ステージ、ラストシーンを迎えていた。
自分のことを第一に考えることを全くしなくなった。
役者として、とてもとても大切なものをもらった。

ふたりの岡本さんのこと、ずっと忘れない。

海組の岡本さんは、最初っからとても好きだった。
でも、好みのタイプではないと思っていたのに。
悪くないのにいつも泣きそうになりながら謝ってて、
でも、落ち込んでる自分に、プレゼントをくれたときのあのとびきり優しい笑顔。
最後まで自分のために身を削って泣いてくれた。
なんて素敵な人なんだろうと思った。

空組の岡本さんは、いつの間にか好きになった。
こんな人がそばにいたなんて気づかなかった。
ひたすら気遣ってくれて励ましてくれて、
落ち込んでるときに、プレゼントと一緒に1番ほしかった笑顔をくれちゃう。
複雑な表情を見せる瞬間がたくさんあって、次第にこの人のことを考えてた。
なんて素敵な人なんだろうと思った。

見えないはずなのに、竜馬の出す空気も2チームで全然違うことが肌でわかって、
でも、それも、毎日毎日、違った。
どちらの竜馬も、自分のチームでの、
その回の責任をしっかりと背負い、
何があってもしっかりと支えてくれて、
結局はこの人たちに任せようといつも頼らせてもらった。

シングルキャストのメンバーは、同志だった。
妹も旦那も、役の関係以上の繋がりを感じられた気がする。

いつもいつも思うけど、
この公演から、この役から、
私はたくさんのものをもらった。
救われてばかりだ。
舞台を降りると、うまく生きられなくて、
人を傷つけてしまったりして、
悲しくて、
大変なことばかりだけど、
舞台に、役者という仕事に、励まされ、
幸せな気持ちをいっぱいもらった。
こんな私だけど、がんばって生きていこうと、
岡本や竜馬に助けてもらった。

共演者、スタッフ、そして何よりも、
観に来てくださったお客さんに、
感謝の気持ちでいっぱい。
本当にありがとうございました。

岡本さんの後ろには竜馬が、
棟方さんの後ろには土方が、いたように、
私の後ろには、いつも、いつも、
ミラノさんがいた。

10年前は、ミラノさんがケイコ、私がカオリを演じていた。
お姉ちゃんは、突然、この世からいなくなった。
私がケイコを演じるとき、
ミラノさんを忘れる瞬間があるはずがなかった。
どうしたって、それはあり得ない。
私はミラノさんの演じるケイコの妹だったのだから。

たぶん、私の後ろに、いてくれたんだと思う。

私の台詞、なかなか決まってた?
ずっとずっとお姉ちゃんを見てたから。
あの時のミラノさんと、
同じ台詞を喋り、同じ気持ちを感じられた。

とすれば、これでお姉ちゃんとはお別れのようだ。

私はひとりで大丈夫です。
お姉ちゃんもひとりだったもんね。

私もがんばる。
この広い世界で。
絶対に、絶対に、いい女優に、
いい女になるからね。


また逢おう。   つづく


さぁ、次!
まずは気持ちを切り替えるために髪型を変えたい。(独り言)

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